NPO法人 ニュースタート事務局関西

「マドリードの心理学廃絶集会ルポ」髙橋淳敏

By , 2026年6月25日 8:49 PM

マドリードの心理学廃絶集会ルポ

 ヨーロッパ文明の根っこには、植民地主義がある。そして、近代化や戦争も植民地主義と共にある。ポストコロニアリズムと言ったが、「先進国」のやっていることは変わらなかった。今回、ヨーロッパへ行って出会った人たちは、自らをも蝕ばんでいる植民地主義に抗っていた。移民や病者、犯罪者とされた人の受け入れについて話し合い、暮らしの中で実践をしていた。ヨーロッパでは、アフリカや中東、中南米、東南アジアなど植民地化した国々からの移民が5割を超える都市もある中、今も戦争に加担し続けるEUの国々は内部崩壊をしていた。そして、宗主国の因果といえるこの国家の崩壊が、いわば希望であった。

 深夜にフランスのトゥールーズを高速バスで出て、ピレネー山脈とサラゴサを越えた59日朝、友人と合流しスペインのマドリードの中心部にいた。「CSO La Rosa」というスクウォット1された社会センターで開催される「心理学の廃絶」の集会に参加するためだった。コンクリートむき出しの45階建ての小さなビルに、元精神科医や元セラピストをはじめ、刑務所に捕らえられている人を救援する活動家や学生など、幅広い年齢層の様々な人たちが、延べ100人以上出入りしていた。昼ごろから「心理学の廃絶の理由は」と題され、そこでは約50名が車座になり、立って参加する人もある中、会は進行した。小声での日本語通訳が邪魔になるくらい、次々と変わる話者に集中して静かで、それでいて話しの熱気が伝わっていく興奮があった。この日を、待ち望んでいた人たちが各地から集まってきたのだ。心理学や精神科医療の具体的な害悪について、なぜ廃絶しなくてはいけないのか、どのようにして廃止すべきかなど。改善策や苦情を話す人はいなかった。精神科医療や心理学が病院や社会全般、コミュニティーや運動の中に蔓延している条件を、一つまた一つとつぶす意見交換がされていた。背景には、管理や監視、薬物による精神医療の被害はもとより、あらゆる運動コミュニティーの中に蔓延るセラピストや心理学が、関係性や自治を阻害してきた各運動内の問題が存在した。

 医師や専門家の介入、警察や国家の刑罰制度や行政機関を使わず、コミュニティの力で「病者や被害者へのケア」と「病者や加害者への寄り添いと起こったことの責任」や「問題の構造的解決」を同時にめざす草の根の実践があった。正しさの変革というのか、トランスフォーマティブ・ジャスティス(変革的司法)という概念がしばしば登場した。奴隷制を例に挙げると分かりやすいが、悪いのは制度であり、目的は制度の改善にはない。現代の奴隷制である移民に対する取り締まりや、精神医療の制度を廃止する。重要なのは、精神的に病んだり事件が起きた原因を、個人に帰するのではなく社会やコミュニティ全体の責任として考えることにある。孤立や貧困に貶められている「移民」が、違法薬物を使用した場合、個人を責めても意味がない。罪を犯したものを罰することは問題を隠ぺいすることである。精神科の薬を投与したところで、その人の病が治るわけではない。だが現状は、専門家の介入や制度が強化され、関係が分断されている。そこで制度を直接的に廃止し、一方で受け皿となるコミュニティーを作る。あるいはできたコミュニティーが、制度を廃絶する足掛かりとなる。

 この集会に賛同する気持ちを伝えたいために、旅の途中で私が書いたマニュフェストがあって、それをスペイン語に訳してもらった文章を、昼の集まりの最後に読んでもらった。社会問題であった引きこもり問題が、病気や障害・無気力を所有する「ひきこもり」個人の問題に帰された日本社会の状況を説明した。医療や福祉制度による専門家や支援者が便乗し、「ひきこもり」として個の問題へと無力化され、「ひきこもり」を生みだした社会は強化された。「ひきこもり」は差別的に再生産され、あってしかるべき私たちの関係は失われた。かつては山の上の病院で看守役をしていた精神科医は、彼らが作った病者を山に軟禁したままに、自らは駅前のクリニックを開業して、「ひきこもり」などを捕捉するエージェントとして町へ降りてきた。私が普段どこにも告白できなかった日本の心理士や福祉業界を訴える内容を、他の参加者と同じように受け入れてもらえたのがうれしかった。

1不法占拠、「住む」ことは大事なレジスタンスである。

2026年6月25日 髙橋淳敏

例会報告

By , 2026年6月25日 8:45 PM

 6月20日(土)例会がありました。9名(内家族の方が3名)参加でした。この引きこもりを考える会は、私たちニュースタートがやってきたことや考えていることなどをお話しながらみなさんの悩んでいることも聞かせてもらって一緒に考えようという会です。初めに、代表の高橋が一か月ヨーロッパに行っていたこと。ドイツ、フランス、スペイン、イタリアと知り合いを巡っていろんな場所に行って新しくもいろんな人に出会ったりする中で、そのうちの2,3日のことでもまだ頭の整理がつかず、少しずつ文章にしているところ。ヨーロッパでのことから今の日本の引きこもり問題について考える。スペインのマドリードで参加した心理学廃絶の集会では、本当は自分たちの社会の問題なのに専門家が入ることで、個人化させられるということ。引きこもりも個人の問題(病気や障害、能力など)ではなく、自分たちが生きているこの社会の方に問題があるのに専門家に任せてしまうと人との話し合いや一緒に考えたり生きようとする時間が失われてしまうのではないかというところ。

 皆さんの話では。子どもたちは大人になったら会社員になるというモデル(親が違う働き方をしているのでなかったら)しか見えず、他の道を想像しにくかった。ヨーロッパでの子育ての仕方や結婚観の違いも感じたという話も。日本では親が(特に母親が)子のために人生を捧げるものと思われていると親たち自身が考えてしまっていて、その子たちも(言葉で言われたわけではなくても)親なんだから子のために子の気持ちをわかってどんな時も対応するべきだったと親を責める。親だって一人の人間で、子も親とは違う価値観を持った人間だと思えていたらそんな風には考えないかもしれない。社会の厳しい目を誰に言われたわけでもないのにみんな感じてしまっている。そうではなく、いろんな子がいて当たり前。学校に行かなくても他に選択肢があったり、いろんな生き方があっていいんだとそういう目でお互いを見れるなら希望を持てるのかもしれない。そしてしんどい状況の人がいるならその人個人の問題ではなくて自分たち社会の側の問題なんだから他人事ではなく自分事として一緒に考えて話したい。(くみこ)

7月の定例会◆「引きこもりを共に考える交流学習会」

By , 2026年6月21日 10:02 AM

7月の定例会◆「引きこもりを共に考える交流学習会」

7月18日(土)14時から (328回定例会)
場所:クロスパル高槻 4階 会議室
 
当事者・保護者・支援者問わない相談、交流、学びの場です。
参加希望の方は事務局までお申込みください。詳細はこちら
※参加者は中部から西日本全域にわたります。遠方の方もご遠慮なく。

7月の鍋の会

By , 2026年6月21日 10:00 AM

7月の鍋の会

日時:7月12日(日)12時~16時 第520回

みんなで集まってから何鍋にするか考えて買い物に行って鍋を作ります。暑い中もう冷房がいるかな。。。みんなでお鍋を囲みましょう。

初めての方も久しぶりの方も大歓迎です。参加される方は申し込み下さい。

場所:「へそでちゃ」(JR摂津富田駅から徒歩15分弱)

待ち合わせ:11時45分JR摂津富田駅改札口

参加費:カンパ制

鍋の会報告

By , 2026年6月15日 7:24 AM

 6月14日(日)鍋の会開催しました。15年以上ぶりの方も、よく会ってるけど鍋会は初参加という方もいて10名の参加がありました。今回はさっぱり鶏の水炊きがいいという意見がありすぐに決定。メニュー決めして買い物帰って来ると3名の方が増えていて材料足りるかなと不安になりましたが、最後はおじやという必殺技があったのでなんとかなりました。シンプルな味で食べる白菜や大根がうまいと感じるしみるお鍋でした。今回は参加者の方たちの間で初めましての方も結構いたので自己紹介を時間をかけてやりました。自己紹介と最近の自分のニュースというテーマで話しました。今までの話も聞きたいけどやっぱり大事なのは、今何に関心があって何に不安を感じていて何をしたいかが聞きたい。人に話すと、ただ訳もわからず不安で怖かったりすることも少し客観的に見れたりするのかもしれない。考えることは一人で出来るけど人の前でそれを出すことは他人がいないとできない。そんな場でもあります。暑くなってきましたが鍋の会ぜひご参加ください。(くみこ)

Panorama Theme by Themocracy | Login