「おしかけ鍋の会」高橋久美子
ご自宅で「鍋の会」をしませんか?
2001年から毎月2回開催してきた鍋の会は、2019年7月28日で450回目を迎えます。これまでは、昼ごろに集まった人たちで何鍋を作ろうかと話し、何を買うか考え、近くのスーパーに買出しに行きました。買出し組と、残って他の準備をする組にわかれます。買出し組が帰ってきたら材料を切って、スープを作って、おにぎりを握ってみんなで準備します。わからないことは人に頼ったり、休憩したい人はゆっくりしながら、鍋を作っていきます。鍋会は鍋を食べることが目的なのではなく、準備や片付けも含めて参加者がお客さんとして座ってるだけではなく、参加している一人一人がその日の鍋の会を作って行く事を大事にしています。鍋ができたら乾杯して食べます。各自でおたまですくって(直箸はしません)自分の食べたいように食べます。鍋を囲って食べる頃には顔見知りにはなっています。肩書きも、おもしろい話も要りません。何も変わらずそのままの自分でいてくれるのが一番いいでしょう。食べだして一段落ついたら、話しやすいようにテーマを考えたりしますが、話したくない人は名前だけでも大丈夫です。他の人の話を聞いてみてください。鍋会には色んな人が参加します。引きこもりの状態にあってなんとか親に連れられてか、一人でか出てきた人、学校や大学には行けないけれど人の集まる場所に出る事を大事だと思って来る人、今は少し動き始めて来た人、その家族の人たち、自分も生きにくさを抱えてきてこれはどういう事なのか知りたい、何かできないかと思って来る人(これは若者から、親世代、またはもっと上の世代の方もおられます)など様々です。いろんな世代の価値観をもった、色んな風に生きてきた人たちが集まる場所。みなが引きこもり問題の当事者です。「普通」と言われるような道を行くだけが人生ではありません。一人一人が違う人間なのだから違う道があって当たり前です。その道は一人では見つけられないし進めません。「普通」が正しいと思って現実を見ようとしない大人の話ではなく、一人一人の道があると信じている人と話して、聞いて、見て、一緒に語り合いながら自分の道を探して行く事が大事なんだろうと思います。
ニュースタート関西がそれほど大切な場所だと信じてやってきた鍋の会なので、色んな場所に出向いて、これからの人生を自分が生きていくために、鍋の会を活用してもらいたいと考えました。そして私たちも出会って行きたい。一人一人の声は小さくても外に出て集まって話していけば大きな力が生まれる。その力を利用して少しでも引きこもりの状態にある人、親も元気になって希望を持って、人が生きることについて話してほしい。家族を開いて、そして、一人じゃないならきっと進めると信じています。
2019年7月5日 髙橋久美子