「僕は自立神経が嫌いだ(年末年始症状日記)」髙橋淳敏
年末年始に体調を崩した。膠原病やリウマチのような症状であった。関節痛があり、全身が炎症を起こしているようであって、握りこぶしも作れず靴を履いても締め付けられ膝にも痛みがあり、歩きにくく手足がむくんでいた。内臓もどことなく膨れているような感じがした。体温も上がり下がりを繰り返し、身体が炎上しているような状態だからか体力が極度に低下し、ちょっと近くまで出かけるのも休憩しながら、長い階段なんかは上がれる気がしなかった。寝転がっているのも、身体が痛むので、座ったりフラフラしながら生活し、お正月だというのに食欲もあまりなく、お酒も飲む気になれず、なぜか甘党になり夜に牛乳で溶いたココアを飲みながらチョコレートを食べて楽しんだ。そんな状態が一週間以上は続いた。年末年始ということもあり、医者とも相談しなかったので、ちゃんとした原因は分からないが、時間はあったので自分の体を観察しながら考えていた。それで、どうもこれは自己免疫疾患と言われるものの一種だと思い至った。
子供の頃はアレルギー性鼻炎や気管支炎などを患い、虚弱体質だと言われもしながら、いろんな病院に通い、薬や栄養剤を飲まされた記憶がある。母親が自律神経失調症だとか早くから更年期障害だと、自らの身体の不調を嘆いていたので、遺伝的なものなのかもしれないし、そのような構造の中で私の身体が仕立て上げられていったのか、現代に増えてきている病気なので社会環境せいなのか、今でもはっきりはしないが、薬物療法など治療と言われるものをいくらやっても、対処療法でしかなく症状はいっこうに良くならなかった。そんななので、それらの症状は周りがどんなに心配したとしても、自分の体の一部なのだと気にはしなくなり、調子が悪い程度では病院にも行かず薬も飲まなくなり治そうという気もなかった。病院に通ったり薬を飲む苦痛よりは、それらの症状を日常的に抱えてしまうほうが楽であった。くしゃみを連発したり、咳込んだり、顔がむくんだりと、見るからに気の毒な症状を抱えながらも本人は気にもしておらず全く諦めていたのだが、実家から離れて一人暮らしをした時に、それらの症状がほとんど出なくなっていたことに気がついた。ちょうど身体が大人になり変化していったからかもしれないが、症状が楽になったのもいつからかは定かではない。だが、実家から離れてほどなくして、久しぶりに家に戻った時に、なんのきっかけになるような食事もなく蕁麻疹になったことがあって、その時に原因として今までのことを考える機会があった。いろんな要因は考えられたが、父親の仕事が会社員で転勤が多かったため、学校や生活環境が自分の意図しない中で何度も変わり、知らぬ間にストレスを抱えていたからか、自律神経のバランスは崩れていたのだろうと思う。アレルゲンに関しては、機密性の高いマンションなどの住環境や、人工的な外の自然環境のせいだろうと考えていた。
それでも毎年12月になると病気になることが多かった。主には風邪のような症状だが、正月は不調で寝ていることが毎年のように続いていた。休み明けは前と変わらず調子は取り戻せたので、たぶん一年の疲れが出て身体を休めるぐらいしかないのだろうくらいに、一人になってからは考えていた。風邪が多かったが、1年前はそれをこじらせてか初めて副鼻腔炎になり、あまり経験したことのない頭痛に悩まされた。アレルギー性鼻炎の延長でもあったので、それも病院には行かず、市販の点鼻薬の助けを借りたら、年始にはすっかり治っていた。去年の12月は鯖をさばいて好物のしめ鯖を食べて、アニサキスの胃への侵入を許し、それから間もなくインフルエンザを患った。アニサキスは原因が明確だが、毎年のこともあって12月は免疫が落ちるのだろうと思っていた。インフルエンザも何度かかかったことがあったので、今回は家に残っていた解熱剤(カロナール)を一度だけ飲んで時間をかけて治して、忘年会なんかでは体力が回復しておらずお酒を控えたが、その後にリウマチのような症状が出たのだった。最初は違う種類のインフルエンザに罹ったのかと思ったがどうも違ったようで、今回は自律神経系と自己免疫系に関連があるのかとネットで調べたら、あまり研究は進んでいなさそうであったが関連があるような記述があって自分の中では少しはっきりしたのだった。
どうもまず師走と言われるような12月になると自律神経の交感神経がより働くようになり、免疫が抑えられウィルスなんかに対する抵抗力がなくなるところから身体の変調が始まり、風邪なんかも引きやすくなったようであった。それからそれら菌やウィルスの侵入により一転して、休息する期間に副交感神経が主になるからか交感神経が働かなくなる。今度は今まで抑制されていた免疫力が高まり免疫系が過剰に振る舞い、免疫系が自身の体を攻撃する自己免疫疾患と言われる症状が出てくる。今回は、侵入してきたウィルスの種類のせいか、インフルエンザの治し方が悪かったせいか、その後膠原病やリウマチのような症状をもたらしたのだと考えた。インフルエンザを薬に頼らずに治したのも自己免疫系を暴走させることになったのかもしれないが、とにもかくにも12月はまず自律神経のバランスが崩れて、ウィルスや菌などの体内侵入にうまく対応できず風邪などを引き、それが引き金となってアレルギーなども含む自己免疫疾患と言われる中で、毎年違う症状に悩まされていたのであった。
人の体のことに詳しい人が診れば、違う分析もあって私の年末年始の症状も違う病気が原因なのかもしれないが、一つの症状だけを診て例えばそれは膠原病だと診断され薬を飲んだところで、それまでの流れや関連を診なければ一時的に症状が治まるようなことはあっても、病気が治ることはないだろう。あるいは病態が固定化してしまうようなことも心配する。私の年末年始病も治ったわけではないが、他人の身体の勝手な記述に、読んで付き合ってもらったのは有難い。今回は引きこもりのことには直接関係させるような書き方はしなかったが、引きこもっている人にもかねてから、アレルギーやアトピーや膠原病やそれに付随する頭痛腹痛めまい吐き気などの自己免疫疾患と言われる病の症状に悩まされている人、それが自分の身体でどうしようもないと諦めている人は多いように思う。子宮頸がんワクチン接種薬害で重度の自己免疫疾患になった方の国や製薬会社への責任を問う裁判が現在も行われたりもしている中で、現代医療特に薬剤や昔とは違った都会や郊外などでの住環境で、どのようにしてそれらの症状を治していけるかはまだ不確かである。自己免疫疾患で重度の人の中には感覚過敏や痙攣や失神、記憶障害なんかもあるようだ。軽度の自己免疫疾患は疾患と呼ぶほどのものでなくても、花粉症や倦怠感などたぶんほとんどの人が経験しているとも考える。おまけに間接的ではあるが、交感神経の働きが免疫系を抑制すると今回考えた自律神経というのは本当に厄介なもので、なければ心臓も勝手に動いてはくれないわけなのだが、「誰が勝手に働けと頼んだのだ」と思うくらいに、不自由でどうにもしようのないものだ。他人の意識の方がまだなんとか交流もしていけるが、誰もがこのなんともならない自律神経とずっと付き合っている事実に驚く。僕は精神が好きですが、自律神経は嫌いです。以上のような妄想をしないためくらいには健康は大事なものなので、気をつけてはいきたい。
おかげさまもありまして、年末年始の症状は今はなくなりまして、現在は動きながら体力の回復に努めているところです。またご心配はおかけすることはあると思いますが、本年も宜しくお願いします。
2019年1月18日 髙橋淳敏