NPO法人 ニュースタート事務局関西

引きこもりは「障害」か?

By , 2014年1月17日 9:39 AM

2018年から企業に対して精神障がい者の雇用を義務化

もう去年の話になるが、アベノミクスと騒がれていたのであまり目立たないニュースであったのかもしれないが、国は5年後の2018年から企業に対して精神障がい者の雇用を義務化した。身体障がい者や知的障がい者に対してはあった企業に対する雇用の義務を精神障がい者もそこに含めたという話で、前から長く望まれている方もおられるようには思ったが、私はこのニュースを引きこもりの問題から考えさせられた。

企業で働いていてうつ病や統合失調症などの精神病になったという話は後を絶たないどころか、私がそのような年齢になったからか同級生などからも前よりもよく聞くようになった。企業で働いてやめて引きこもって行く所がないから精神病院へいった相談も前からずっとある。周りに一人や二人はいるような話であると思うが、精神病になったことと企業での働き方との相関はかなりあるだろうと考えている。それで、企業に対して精神障がい者の雇用を義務化するということは、原因となった企業がその責任を持つということで企業の精神病に対する理解に期待しているのかもしれないが、労働組合も組織できない今の企業文化にその期待は昔以上に難しく、窓際に追いやられ補助金などで企業が潤い国の負担を減らすという話くらいだろうと考えている。それどころか、企業内で働き方を分離させ精神病を産み出す働き方を肯定し、そのような言わば尊厳のないような働き方を促進することになるのではないかと危惧するところである。だが一方で、精神障がい者とされた人の中に企業で働きたいと思っている人が多いのも事実である。

障害というのは、持たされるか持つかに関わらず、半永続的に何かができないとされるものであると一般的にみなされている。できないとされるものが身体か知的か精神によっても違い、人によっても違うわけだが障がい者とされる人はできないことがあるので、それによって健常者とされる人よりも生きにくくさせられていて、そんなことのないように健常者と同じように生きやすくしていこうと社会保障があったり、そのようなことは多くの人が考えてもいて足りないながらも生活の中でも実践していることだと思われる。それで両足が不自由で歩けなくとも、車いすと舗装された道路があれば、押してくれる人もあればなおさら行けなかった場所にも行けるようになり、できない(できなくさせられている)ことができることとなる。ある人が言っていたが、障害はできないことでありできるできないと生きやすい生きにくいを切り離すべきであると、要するにはできないから生きにくいという状況をなくそうという話だとも思うが、これはもっとものようにも思える。

若いということでできなくさせられていることがあまりにも多い

若いというのは可能性がある一方で、経験がないことでできないことが多い。それは誰にでもいえることであると思うが、社会が強固であればあるほど経験しなくてはできないことが多くなり、若いとその社会でできていないことが多くなる。震災などが起こった被災地などでは若い人は活躍するが、デスクワークなども多く機器も発達した企業社会の中では若いということで活躍できることは少ない。普段の生活においても将来のためと言われて、役に立つのかどうかも分からない勉強をさせられたりすることも多く、若いことやできないことがいいように思われることが少なくなった。できないことを丁寧に教えてくれるのならまだいいが、今の企業にそのような余裕はない。おまけにアベノミクスといわれるものは、今までの社会をより強固にしていくような経済であり政策である。若いということでできなくさせられていることがあまりにも多い。それで開き直ってできないとやってしまえればいいが、できないと決めつけてしまえば社会の側はその人のことをちゃんと知ろうとすることもなく例えば発達障がいだといってしまえるような今の社会のムードはある。生活が!できなければそういった社会保障に頼らざるをえなくもなる。引きこもりでもニートでもダメだったので、発達障害としてしまって企業で雇用できるようにしようと、今回の精神障がい者雇用の中に発達障がい者が含まれるのかどうかは知らないが、ちょうどよかったとそんなシナリオを誰かが書いているような気さえしてくる話であった。

できない事と生きる・単純にできないとみなされることは拒否する

このような社会では、できないことと共に生きながらも、同時に単純にできないとみなされることについては、拒否しなくてはならないという、生きにくい世の中である。いくつになっても、できないことを一つも恥ずかしがることはなく、できないと言ってくる分かったようなことしか言わない意見には耳をふさぎでもして、今やっていることやできることをただしていくしかないのだと単純な結論ですが。

2014,1,16 高橋淳敏

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