NPO法人 ニュースタート事務局関西

vol.11 引きこもり時事通信 Nov~Dec in 2014

By , 2014年12月23日 10:00 AM

引きこもりにまつわる、興味深い、気になる、疑問を持つ・・・etcのニュースをご紹介し、解説、感想、場合によってはツッコミ等を付記するコーナーです。(栗田)

 

☆セクシュアル・マイノリティーと引きこもり  異性愛前提の社会に生きづらさを感じる人たち
http://diamond.jp/articles/-/63541
【第225回】 2014年12月11日 池上正樹 [ジャーナリスト]
(略) セクシュアル・マイノリティーとは、社会においてある種の性のありようが非典型的とされるために、アンフェアな扱いを受けている人達を指して言う言葉だ。「性的少数者」「ジェンダーマイノリティ」「性的マイノリティ」などと呼ばれることもある。
「LGBT」も、セクシュアル・マイノリティーに含まれる。LGBTとは、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)などの頭文字の略だ。
実は、このセクシュアル・マイノリティーが抱えさせられる生きづらさも、「引きこもり」の背景にある要因の1つとしてリンクしている。
「オカマ」といじめられた小中学校時代母親にもカミングアウトできず不登校に
小学校に入ると、男子は体育の時間に活躍するものだと言われた。だから運動ができない男子は、学校の中で嫌われていく。
おがたけさんは元々、球技が苦手。とくに、相手を殺しにかかるかのように思い切りボールを投げてくる同級生の多かったドッジボールが怖かった。
そもそも自宅でも、野球好きな父と兄によってテレビをいつも占拠されたため、野球が嫌いだった。
その頃、ニューハーフを見世物にするような番組が流されるようになった。すると、学校でも「オカマ」という言葉でからかわれたり、いじめられたりするようになった。
「実際に自分の振る舞いや感性としても、クラスで騒ぐような男子や、バカなことをする男子とはまったく違う。オカマと言われちゃうと、否定も何もできない。どんな身振りをしても、オカマだからそういう動きするんだ、みたいなことを言われ、身動きが取れなくなるんです」
自宅の中でゴキブリが出たとき、おがたけさんが騒ぐと、父親から叱られた。
「そんなことで将来、結婚して、奥さんをどう守るんだ!」
誰が結婚なんかするかと思った。
中学2年のとき、クラスの同級生たちから「ホモ」「オカマ」と言われ、廊下に追い出された。担任だった中高年の女性教諭は「やめなさい」と言って、かばってくれた。ありがたかった。ところが、その後の一言がいまでも心に残っている。
「そんなんじゃない。ちゃんと女の子が好きな男の子なんだから。そういうこと、やめなさい」
おがたけさんは、高校に1学期だけ通った後、不登校になり、引きこもり状態になった。
母親に連れられて、一緒に不登校のカウンセリングを受けた。話の流れの中で、男性カウンセラーは、

「私も友だちに新宿2丁目のオカマバーに連れて行かれちゃったことあるけど、気持ち悪くてすぐ店出て、ゲーゲー吐いちゃうんだよね。あははは」と笑った。

もちろん話を盛り上げるつもりだったのだろう。しかし母の前でもカミングアウトできないのに、不登校の専門家からそういうことを言われると、ますます自分の本音が言えなくなった。
その頃、母親から、こういわれた。
「昔、お父さんが“この子はおかまになっちゃうんじゃないか” と心配してたのよ。そんなの、あるわけないのにね」

(略) おがたけさんが「セクマイ(セクシュアル・マイノリティーの略)ひきこもり」を想定するのは、生きていくうえで「クローゼットに閉じ込められる状態」を強いられることによって、性別役割を求められる社会的場面回避の連続となり、引きこもり状態に陥るからだという。

おがたけさんがネット上でカミングアウトできたのは、09年。30歳になってからだ。

「私がいま、支援者や相談者に対して、“いるんです” “とにかく想定を持ってくれ”と言っているのは、こういう経験があるからなんです」
(略)
これまで、セクシュアル・マイノリティーのひきこもり状態に関する公的なエビデンスは、日本国内にはほとんど存在しない。
ただ、ぼんやりと輪郭を映し出したデータもある。2001年、大阪のアメリカ村で2000人余りの15~24歳の若者に自殺経験の有無などを街頭調査し、ホームページに公開した日高庸晴(宝塚大学看護学部教授、関西看護医療大学看護学部講師)らの研究だ。
調査によると、男性における「異性愛でない人」の自殺未遂率は、「異性愛者」の約6倍に上ることが明らかになっている。
「異性愛が前提になる社会」に生きにくさを感じるセクシュアル・マイノリティーについて、これからもっとみんなで議論していかなければいけない。(略)

 
引きこもりとセクシュアリティー、ないし引きこもりとジェンダーについては、それについて取り上げる記事そのものがとても少ない中で、この記事はとても貴重なものだと感じた。
フリーター、引きこもり、ニートという言葉もなんとなくその言葉を聞いて思い浮かぶのは、若年男性像である。女性が浮かぶ事も少ないが、さらにゲイ、レズビアン、トランスジェンダー(いわゆる生まれ持った身体とは違う性自認を持っている人)の引きこもっている状態の人を想定する事はさらに少なくなる。いわゆる支援者のジェンダー・セクシュアリティ観がまずは問われるとつくづく思う。

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