高槻ドミトリー讃歌
高槻ドミトリーは黄昏をもってはじまる
竜王山の稜線に太陽が近づくと
夕陽は急に輝きはじめ
まっ赤に大きく真円となる
赤の真円が稜線にかかると,またたく間に落ちる
しづかな静寂の光
それは黄金の時である
夕闇
コウモリがとびはじめる
あたりいちめん,おちこちにとぶ
その数,数千というべきか
コウモリは超音波で蚊の位置を知る
女瀬川(にょぜがわ)に湧く蚊の大群を食べるのだ
ここは自然が豊かな地である
日中,アスファルト道にシマヘビが寝そべっていた
北面すれば広い深い緑地
今城塚古墳(いましろづかこふん)である
紀元530年頃の前方後円墳
武人や家のハニワが整然と並んでいたという
深い樹々と水辺はさてはコウモリの棲家か
問えば小川さんは継体天皇の御陵という
継体天皇は第26代,仏教伝来前のことである
南面すればはるか東方に石清水八幡が見える
ここ高槻は摂津の国
平安朝 源頼光は摂津守であった
勅命により頼光は大江山酒天童子を退治することとなる
渡辺綱,坂田金時をひきつれ大江山に向わんとしたとき
石清水八幡におつかえする翁があらわれる
一献の酒
「善人が飲めば,千人の力を得,
悪人が飲めば,たちどころにその魔力を失うという
不思議な御神酒にて候」と
かくして高槻ドミトリーで飲む酒は
まことに石清水八幡の御神酒である
善人が飲めば千人の力を得る
千人の力を得て吾等舞い踊らん
2002年6月 三宅崇昭