しょうがねえじゃんという救い
しょうがねえじゃんという救い
先日,『しょうがねぇじゃん 俺生きてるし』〔編集者注〕という本を読みました.
松本創君という,いわゆる「不登校」の人の書いた本です.
あとで知った話では,『学校W 15才』の主人公のモデルだそうですね.
ぼくは全く知らずに買いました.
とにかく,タイトルにすごく惹かれて買ってしまったんです.
すごいよなー. 『しょうがねぇじゃん 俺生きてるし』って・・・.
ずばりじゃない?
で,内容も,なかなか興味深かったです.
一番面白いと思ったのは,最初の3ページ.
自分の生きてる意味,生き方,それらの問いに対する答えらしきものがでています.
『考えつくして,あきた.』って・・・.
うーん,すごい.
あとの部分は,彼の友人の話や,屋久島へ一人旅の旅行記など,彼が楽しいと思うことに関するものがほとんどです.
悩みや生きる意味の疑問なんかは,あるにはあるけど,とりあえずうっちゃっておいて,楽しいことを追求している.
すごく,健全だと思います.
「しょうがねぇじゃん,俺こういう生き方しかできないし,そうじゃないと楽しくないもん.」
そういう風に言いきってしまえるようになれば,ずいぶんラクになりますよね.
松本君は,悩み抜いた後でそれを実践しています.
やっぱり,すごいなぁ.
実は,「しょうがねぇじゃん」という言葉は,ぼく自身にもときどき言いきかせてる言葉です.
「クソまじめでバカ正直な損な性格だけど,しょうがねぇじゃん,そうじゃないと気持ち良くないし.」
「うまくいかなかったけど,しょうがねぇじゃん,その時の精一杯を出したし.」
「みんなに否定されるけど,しょうがねぇじゃん,おれは面白そうだからこれをやってみたいし.」
もちろん,そう思ったところで現状は何一つ変わらないし,つらさや悲しみはなくなりません.
でもやっぱり,最後の最後で「しょうがねぇじゃん」は,ぼくをラクにしてくれる.そして,立ち止まることなく前に進もうとするチカラを与えてくれる.
あっ,そうそう,ここまで読んで「そんなの,人生諦めた負け犬じゃん!」
なんて思った人いるでしょうか?
そう思うんならそれでいいんです.
諦めないで,願いを叶える努力と工夫をすればいいわけで,
そうしたいと思ってしまうんだから「しょうがない」ですよね.
で,もしもそれが実現不可能とわかったら,それはそれで「しょうがない」んじゃない?
要は,考えない言い訳にするんじゃなくて,考えてもしょうがないことを認めるということなんです.
かきはらひろのぶ
編集者注:『しょうがねぇじゃん 俺生きてるし』は河出書房新社より発刊されています.